会計・税務

設備投資の特別償却・中小企業税制特例——中小企業のための節税

中小企業向けの設備投資減税制度(特別償却・即時償却・税額控除)を整理。資金繰りと節税のバランス。

執筆: Founder's Money 編集部 · 3 分で読了 ·

中小企業の設備投資には、複数の税制特例がある。特別償却・即時償却・税額控除など、活用次第で大きな節税効果が得られる。本稿では主要な特例を整理し、自社の設備投資戦略への落とし込み方を解説する。

主要な中小企業設備投資特例

1. 中小企業投資促進税制

機械・装置(160万円以上)・ソフトウェア(70万円以上)等を取得した場合、特別償却(取得価額の30%)または税額控除(取得価額の7%)を選択。

2. 中小企業経営強化税制

経営力向上計画の認定を受けた中小企業が取得した設備(類型A〜D)に対し、即時償却(取得価額の100%損金算入)または税額控除(7〜10%)。

3. 商業・サービス業活性化税制

商業・サービス業の中小企業が取得した一定の設備に対し、特別償却(30%)または税額控除(7%)。

4. 賃上げ促進税制

給与等支給額を一定割合増加させた場合、増加額の15〜30%を税額控除。

5. 30万円未満資産の即時損金算入(中小企業特例)

取得価額30万円未満の減価償却資産は、年間300万円まで全額即時損金算入可能。

特別償却 vs 即時償却 vs 税額控除

制度 仕組み 節税効果
特別償却 通常の減価償却+特別償却(取得価額の30%) 初年度の減価償却費が増える(将来の減価償却が減る)
即時償却 取得価額の100%を初年度に損金算入 初年度の利益が大幅に減り、初年度の節税効果最大
税額控除 取得価額の7〜10%を法人税額から直接控除 純粋な税額減少(後年度に追加負担なし)

選択の判断基準

初年度に大きな利益が出た場合

特別償却・即時償却が有効。初年度の利益を圧縮して法人税を抑える。

長期的に安定した利益がある場合

税額控除が有効。後年度に追加の税負担が発生しないため、トータルでの節税効果が大きい。

取得価額が大きい場合

税額控除には控除上限(法人税額の20%等)がある。即時償却の方が節税効果を最大化できる場合あり。

中小企業経営強化税制の詳細

適用対象

認定経営革新等支援機関の確認を受け、経営力向上計画の認定を受けた中小企業。

対象設備の類型

類型 設備種類
A類型(生産性向上設備) 機械装置・工具器具・ソフトウェア等
B類型(収益力強化設備) 投資利益率5%以上の設備
C類型(デジタル化設備) 遠隔化・自動化に資する設備
D類型(経営資源集約化に資する設備) M&Aに伴い取得する設備

節税効果

  • 即時償却: 取得価額の100%を初年度に損金算入
  • 税額控除: 取得価額の7〜10%

30万円未満資産の即時損金算入

パソコン・家具・備品等で取得価額30万円未満なら、即時に全額損金算入可能。1事業年度の合計上限は300万円。

活用例

  • 従業員PC(20万円×10台 = 200万円): 全額即時経費
  • 事務机・椅子(各15万円×6セット = 90万円): 全額即時経費
  • 合計290万円が初年度経費に

個別取得価額30万円未満が条件のため、複数台に分割して取得するのがコツ。

賃上げ促進税制

中小企業向け賃上げ税制

給与等支給額を前年度比1.5%以上増加させた場合、増加額の15%を税額控除。

2.5%以上増加で税額控除30%にUP。教育訓練費を増やすとさらにプラス10%。

適用条件

  • 給与等支給額が前年度比1.5%以上増加
  • 雇用者給与等支給額の合計
  • 適用前年と適用年の比較

申告時の手続

1. 設備取得時の証憑保管

請求書・契約書・納品書を保管。取得価額・取得日が明確に分かる書類。

2. 経営力向上計画の認定

中小企業経営強化税制を使う場合、経営力向上計画を作成し、認定支援機関の確認を経て、経済産業大臣に申請。

3. 法人税申告書の別表

特別償却・税額控除は別表で計算。減価償却資産の取得状況を明示。

4. クラウド会計の活用

固定資産台帳・減価償却計算は、マネーフォワード クラウド会計等で自動化。特別償却の計算も対応。

節税効果の試算例

例: 中小企業がソフトウェア300万円を取得した場合(中小企業経営強化税制A類型適用)

選択 初年度損金 初年度法人税(税率30%想定)
通常償却(5年) 60万円 −18万円
特別償却+通常償却 60万円+90万円(30%)= 150万円 −45万円
即時償却 300万円 −90万円
税額控除(7%) 60万円(通常)+21万円(税額控除) −18万円−21万円 = −39万円

注意点

1. 期間限定措置

中小企業税制特例は時限措置。延長されるか終了するかは政府方針次第。

2. 経営力向上計画の手続コスト

計画作成・認定取得に時間と労力がかかる。中小企業診断士・税理士・認定支援機関の関与が必要。

3. 業種・規模の制限

各特例には業種・資本金・従業員数の要件がある。事前確認が必須。

銀行融資との連携

大型設備投資には銀行融資の活用も。設備投資減税で初年度の税負担を抑え、融資返済原資を確保するという戦略。融資代行プロで設備投資融資の最適制度を提案してもらえる。

税理士の関与

中小企業税制特例は複雑で、適用要件の判断・申告書類の作成は税理士関与が望ましい。税理士紹介エージェントで設備投資減税に強い税理士を探せる。

よくある質問

Q. 中古資産も対象ですか?

A. 制度により異なります。中小企業投資促進税制は新品が原則。中小企業経営強化税制は中古も一部対象。

Q. リースで取得した設備も対象ですか?

A. ファイナンスリースは対象です。オペレーティングリースは対象外(賃料は通常経費)。

中小企業税制特例は、活用次第で初年度の税負担を大幅に軽減できる強力な制度。設備投資のタイミング+制度選択を税理士と協議して最適化することで、節税と資金繰り改善を両立できる。

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