会計・税務

償却資産税の基本——中小企業が忘れがちな地方税

償却資産税(固定資産税の一種)の対象資産・税率・申告方法。中小企業が見落とすと罰金対象になる地方税。

執筆: Founder's Money 編集部 · 4 分で読了 ·

中小企業経営者が見落としがちな地方税の一つが償却資産税(固定資産税の一種)。事業用の機械・設備等に課税される税金で、毎年1月の申告が必須。本稿で基本ルールを整理する。

償却資産税とは

固定資産税の一種で、土地・家屋以外の事業用償却資産に課税される地方税。市区町村が課税主体。

対象となる資産

  • 機械・装置(製造業の生産設備等)
  • 器具・備品(パソコン・複合機・什器等)
  • 船舶・航空機
  • 車両・運搬具(自動車税対象を除く)
  • 事業用構築物(看板・舗装・庭園等)
  • 無形固定資産(ソフトウェア等は除外)

対象外の資産

  • 自動車税・軽自動車税の対象車両
  • 耐用年数1年未満の資産
  • 取得価額10万円未満の資産(全額経費処理)
  • 中小企業特例で即時損金算入した30万円未満の資産(各種要件あり)
  • 無形固定資産(ソフトウェア・特許権・商標権)
  • 個人所有の資産(事業用でない)

税率と免税点

税率

固定資産税評価額の1.4%(標準税率)。市町村により若干の変動あり。

免税点

同一市町村内の償却資産の評価額合計が150万円未満の場合、免税。

150万円を1円でも超えると、全額に課税される(段階的でない)。

計算例

パソコン20万円・複合機30万円・什器40万円・機械80万円 = 合計170万円

償却資産税: 170万円 × 1.4% = 23,800円

申告期限

毎年1月31日までに、所有資産の所在地の市区町村に申告。

申告書は前年に既に提出した法人なら、市区町村から自動送付されることが多い。

申告書の書式

「償却資産申告書」(全国共通様式)

  • 事業者の氏名・住所
  • 資産の種類
  • 取得年月日
  • 取得価額
  • 耐用年数
  • 残存価額(減価償却後の現在価値)

評価額の計算

償却資産税の評価額 = 取得価額 × (1 – 減価率) × 経年減価率

具体的な計算は市区町村が行う。事業者は取得価額・取得年月日を申告するだけ。

減価率

償却資産税は法定減価率で評価額が下がる。耐用年数別の減価率は表で公表。

例: 耐用年数6年の資産なら、初年度は90%、2年目は80%、3年目は70%等(目安)。

未申告のペナルティ

無申告

10万円以下の過料。さらに本来の税額に過少申告加算税。

過少申告

本来の税額の10〜15%の加算税+延滞税。

偽の申告

悪質な場合は追徴+重加算税(35%)+刑事罰の可能性。

少額資産の取り扱い

10万円未満の資産

「消耗品費」等で全額経費処理。償却資産税の対象外。

10〜20万円の資産

「一括償却資産」として3年で経費化可能。償却資産税の対象。

20〜30万円の資産

中小企業特例で全額即時損金算入可能。償却資産税の対象。

30万円以上の資産

通常の減価償却。償却資産税の対象。

節税ポイント

1. 取得タイミングの調整

1月1日時点で所有している資産が課税対象。12月の購入は翌年から課税対象、1月の購入は翌々年から(税務上一年遅れる)。

2. 少額資産の活用

10万円未満の資産は経費化&償却資産税対象外。可能な範囲で「30万円1台」より「10万円3台」の方が課税回避できる場合あり(機能上問題なければ)。

3. 売却・廃棄の早期処理

使わない資産は早期に売却・廃棄。1月1日以降の所有なら課税対象。

4. 免税点150万円の意識

合計評価額が150万円弱の場合、追加購入で課税対象になることを認識。

業種別の償却資産税負担

業種 主な償却資産 年間税額目安
製造業 機械・装置 10万円〜数百万円
建設業 建設機械・車両 10〜100万円
飲食業 厨房設備・什器 2〜20万円
IT・SaaS パソコン・サーバ 1〜10万円
士業 パソコン・複合機 1〜5万円

クラウド会計での管理

マネーフォワード クラウド会計等は固定資産台帳機能あり。償却資産申告書の作成資料が自動生成される。

固定資産台帳の整備

償却資産税の正確な申告のため、固定資産台帳を整備:

  • 資産名
  • 取得年月日
  • 取得価額
  • 耐用年数
  • 所在地
  • 使用状況

複数市区町村の申告

複数市区町村に資産を所有する場合、それぞれの市区町村に申告。免税点150万円も市区町村ごとに判定。

リース資産の取扱い

ファイナンスリース

賃借人(利用者)が申告。実質的な所有者として扱われる。

オペレーティングリース

賃貸人(リース会社)が申告。利用者は申告不要。

申告スケジュール

時期 作業
毎年12月末 固定資産台帳の確定
翌年1月初旬 市区町村から申告書送付
1月31日まで 申告書提出
5〜6月 市区町村から納税通知書送付
4回(または年1回) 納税(分割または一括)

専門家への依頼

申告書の作成は税理士が代行することが多い。税理士紹介エージェントで固定資産税に詳しい税理士を探せる。年間数千円〜1万円の代行料が一般的。

納税通知書の確認ポイント

  • 評価額が前年から大きく変動していないか
  • 処分済み資産が課税対象に残っていないか
  • 新規取得資産が反映されているか
  • 免税点150万円の判定が正しいか

節税の年間サイクル

4月〜10月: 設備投資の検討

必要な設備投資を計画的に進める。

11月〜12月: 取得タイミングの調整

1月1日所有を避けるため、12月末までに購入完了 or 1月以降に延期。

1月: 申告書作成

固定資産台帳から申告書を作成・提出。

5〜6月: 納税通知の確認・納税

通知書の内容確認と納税。

よくある質問

Q. パソコンも償却資産税の対象ですか?

A. 取得価額10万円以上のパソコンは対象です。10万円未満は対象外。

Q. 中古資産も対象ですか?

A. はい、中古でも事業用償却資産なら対象。耐用年数は経過年数で短縮計算。

償却資産税は中小企業の見落としがちな税金。固定資産台帳の整備+1月の申告を年間スケジュールに組み込むことで、ペナルティを回避し適正納税を実現できる。

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