会計・税務

法人事業税の基本——中小企業の地方税負担と外形標準課税

法人事業税の計算方法・税率・外形標準課税の対象。中小企業が知っておくべき地方税負担の基本。

執筆: Founder's Money 編集部 · 3 分で読了 ·

法人事業税は法人税・地方法人税と並ぶ法人の主要税金の一つ。地方税(都道府県税)で、中小企業も毎年負担する。本稿では計算方法と最新の税率を整理する。

法人事業税とは

都道府県が法人に課す事業に対する税金。所得割・付加価値割・資本割の3区分があるが、中小企業は所得割のみ。

所得割の税率(中小企業)

資本金1億円以下の中小企業の場合、所得金額に応じた累進税率:

所得金額 標準税率
400万円以下 3.5%
400万〜800万円 5.3%
800万円超 7.0%

大企業向け外形標準課税

資本金1億円超の大企業は「外形標準課税」が適用される:

  • 所得割: 1.0%
  • 付加価値割: 1.2%(報酬給与・支払利子・支払家賃等)
  • 資本割: 0.5%(資本金等)

赤字でも付加価値割・資本割が発生するため、業績悪化時の税負担が大きい。中小企業はこれの対象外。

計算例(中小企業)

例: 所得900万円の中小企業

所得階層 金額 税率 税額
400万円以下 400万円 3.5% 14万円
400〜800万円 400万円 5.3% 21.2万円
800万円超 100万円 7.0% 7万円
合計 900万円 42.2万円

地方法人特別税(廃止)

2019年9月以前は「地方法人特別税」があったが、現在は廃止。代わりに「特別法人事業税」として再編成。

特別法人事業税

事業税の所得割税額に対し、追加税率が課税される:

  • 中小企業: 事業税×37%

つまり実質的な事業税率は標準税率の1.37倍。

実効事業税率

中小企業の事業税(特別法人事業税込)の実効税率:

所得階層 事業税率 特別事業税 実効税率
400万円以下 3.5% +1.30% 4.80%
400〜800万円 5.3% +1.96% 7.26%
800万円超 7.0% +2.59% 9.59%

所得金額の計算

法人事業税の所得は、法人税の課税所得とほぼ同じ。ただし以下の違いあり:

  • 法人税は損金不算入だが事業税は計上
  • 受取配当等の益金不算入は同じ
  • 欠損金繰越は同じ(10年)

法人事業税の損金算入

事業税は支払時に損金算入。法人税申告書の別表4で調整。

申告事業税は当期の損金にならず、納付時の翌期の損金。

赤字法人の事業税

所得割は所得がある場合のみ課税。赤字法人は事業税ゼロ(中小企業の場合)。

ただし均等割(法人住民税)は赤字でも年7万円〜が発生する。

事業税の申告・納付

申告期限

事業年度終了の翌日から2ヶ月以内(法人税と同じ)

納付方法

  • e-Tax(電子申告)
  • 金融機関窓口
  • 都道府県税事務所窓口

2026年税制改正の動向

2026年現在、中小企業向けの法人事業税率は安定。ただし以下が議論中:

  • 外形標準課税の中小企業への拡大(現状は1億円超のみ)
  • 地方創生税制の特例
  • カーボンニュートラル関連の優遇

都道府県別の事業税の差

標準税率は全国共通だが、超過課税(東京都・大阪府等)もある。

都道府県 事業税の特徴
東京都 超過課税(若干高め)
大阪府 標準税率
その他 地域により標準 or 超過

地方法人税

事業税と別に、法人税の課税所得を基にした「地方法人税」もある:

  • 税率: 法人税の10.3%
  • 国税として徴収後、地方に配分

クラウド会計での税額予測

マネーフォワード クラウド会計等は法人税・事業税・住民税の自動計算機能あり。期中に税負担を予測し、節税対策を検討できる。

事業税の節税

1. 役員報酬の最適化

所得を圧縮して累進税率を下げる。

2. 中小企業特例の活用

設備投資の即時償却・税額控除で所得を減らす。

3. 倒産防止共済

掛金全額損金算入で所得圧縮。

4. 役員退職金規程

将来の退職金準備で計画的に節税。

赤字繰越の活用

法人事業税も法人税と同じく欠損金繰越が10年間可能。赤字期の損失を黒字期で相殺できる。

合併・分割時の留意

事業税の納税は法人単位。合併・分割時には旧法人・新法人の事業税負担を再計算。

都道府県をまたぐ事業

複数都道府県に事業所を持つ場合、事業税の税額を都道府県別に按分する必要がある。「分割基準」(従業員数・事務所数等)で按分。

専門家相談

多拠点事業・複雑な所得構造の場合、税理士相談が必須。税理士紹介エージェントで地方税に詳しい税理士を探せる。

事業税の支払資金確保

決算後2ヶ月以内に納付するため、決算月の翌々月までに資金を確保。融資代行プロで納税資金の融資相談ができる。

事業税と消費税の違い

項目 事業税 消費税
課税主体 都道府県
課税基準 所得 取引
申告期限 2ヶ月以内 2ヶ月以内
赤字時の負担 所得割は不要 不要(免税)

よくある質問

Q. 個人事業主にも事業税はかかりますか?

A. はい、個人事業税が課税されます。所得290万円超で5%程度(業種により異なる)。法人事業税より低めの税率。

Q. 法人事業税はいつ計上すべきですか?

A. 法人事業税は支払時の損金。決算では「未払事業税」として計上、納付時に「未払事業税」を取り崩します。

法人事業税は中小企業にとって決して小さくない税金。累進税率の理解+節税対策の積み重ねで、年間数十万円の節税が可能。クラウド会計で期中に税負担を可視化することが第一歩だ。

アフィリエイトについて: 本記事には広告主提携のアフィリエイトリンクが含まれることがあります。リンクからのお申し込みでメディアに紹介料が発生する場合がありますが、読者の方に追加の費用負担はありません。編集判断はこの提携関係から独立しています。詳細は アフィリエイトについて をご覧ください。