法人カード・決済
創業1年目の経営者が作れる法人カード——審査基準と申込タイミング
創業1年目で法人カードを作るのは難しい印象だが、申込先の選び方と申込タイミングで通りやすくなる。実例ベースで解説。
創業1年目に法人カードを作りたいが、「事業歴が短くて審査に通らない」という不安を持つ経営者は多い。実際、メガバンク系・大手カード会社の法人カードは事業歴3年以上を求めることが多いが、創業期でも作れるカードは存在する。本稿で審査基準と申込のコツを整理する。
創業期の法人カード——審査の論点
カード会社が見る審査ポイント:
- 申込法人の事業歴・売上規模
- 申込代表者の個人信用情報(CIC・JICC・KSC)
- 事業内容の妥当性
- 連帯保証(代表者の個人保証)の有無
創業期で重要なのは2と4。法人の信用情報はまだ蓄積されていないため、代表者個人の信用情報が重視される。
創業期に通りやすいカードの特徴
1. 個人保証ベース
法人ではなく代表者個人を保証人とする形式。個人カードに近い審査が行われ、代表者の年収・信用情報で判定される。
2. 設立直後対応を明示しているカード
「登記簿謄本のみで申込可能」「決算書不要」などを謳うカードは、創業期特化型。
3. プロパーカード
銀行系より小売系・カード会社系のプロパーカードの方が、創業期の審査が緩い傾向にある。
創業1年目に通りやすい主要カード
三井住友カード ビジネスオーナーズ
個人事業主・法人代表者向け。本人確認書類のみで申込可能。年会費永年無料。
JCB CARD Biz
個人カードに近い審査。代表者個人の信用情報重視。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメックス
事業歴問わず申込可能と謳う。年会費は高い(22,000円)が、審査ハードルが他のプラチナよりは低い。
申込タイミングのコツ
1. 創業1ヶ月以内
法人設立直後、決算書がまだない時期。「決算書不要」のカードに絞って申込。
2. 売上が安定する3ヶ月後
銀行口座に売上が継続的に入っている時期。事業の実態が示せる。
3. 初回決算後(1年経過後)
最初の決算書(赤字でも可)が揃う。法人としての信用情報が積み上がり始める。
申込時に提出する書類
必須書類
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 代表者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード)
- 法人の印鑑証明書
カード会社により必要
- 決算書(直近2期分)※創業1年目は省略可
- 事業計画書
- 取引先一覧
審査落ちの典型パターン
1. 代表者個人の信用情報に問題
個人ローンの遅延・金融事故歴(過去5年以内)があると、創業期は特に厳しい。
2. 法人の固定電話がない
携帯電話のみだと「事業実態」が薄いと判断される場合も。
3. ホームページがない
法人のWebサイトがあると審査時の印象が良い。
4. 銀行口座開設前
法人口座が未開設だと審査が困難。先に法人口座を作る。
審査を通しやすくする準備
- 法人口座を開設(GMOオフィスサポート等のVO登記+ネット銀行で最短1週間)
- 固定電話の取得(IP電話でも可)
- ホームページの開設
- 名刺の整備
- 取引先との契約書を1〜2件用意
個人事業主の場合
個人事業主は法人ではないため、「個人事業主向けビジネスカード」を申込む。個人カードと併用可能で、事業用と私用を分けられる。
個人事業主に強いのが三井住友カード ビジネスオーナーズや、freeeセゾンプラチナビジネスなど。
カード選びの優先順位
1. 年会費
創業1年目は固定費を抑えたい。年会費無料 or 初年度無料のカードから始める。
2. 限度額
創業期は10〜30万円程度の限度額が一般的。後から増額申請可能。
3. 還元率
1%以上の還元率があるカードが基本。ビジネス利用で還元率が上がる特典も確認。
4. ETC・追加カードの発行可否
従業員用の追加カード発行手数料、ETCカードの年会費。
クラウド会計との連携
カード明細をクラウド会計ソフトに自動連携できると、経理処理が大幅に効率化される。マネーフォワード クラウド会計は主要法人カードに対応。仕訳が自動で生成される。
よくある質問
Q. 法人カードの審査で個人信用情報を見られますか?
A. はい、代表者個人の信用情報(CIC等)は必ず照会されます。法人としての信用が薄い創業期は、個人信用情報の影響が大きいです。
Q. カード審査に落ちた場合、すぐ別のカードに申込めますか?
A. 直近6ヶ月の申込履歴は信用情報に残ります。短期間に複数申込すると「申込ブラック」と判断される場合があるため、3〜6ヶ月空けるのが安全です。
創業期の法人カードは「個人信用情報」が鍵。事前準備と申込先の選定で十分通せるため、最初の決算を待たずにチャレンジしたい。