法人カード・決済
海外送金・外貨建て決済対応の法人カード
海外取引が増えるなか、外貨建て決済・海外送金に対応する法人カードの選び方。為替手数料・特典を比較。
海外SaaS利用・海外仕入・海外出張の増加で、外貨建て決済・海外送金に強い法人カードのニーズが高まっている。本稿では海外取引向けカードの選び方と為替手数料の見方を整理する。
海外決済での主要コスト
1. 為替レート(両替コスト)
カード会社が独自に設定するレート。仲値(銀行間レート)に対して0.5〜2%上乗せされるのが一般的。
2. 海外利用手数料
カード会社が請求する追加手数料。多くのカードで1.6%〜2.2%。
3. 為替リスク
カード請求時の為替レートで日本円換算される。決済時から請求時までの為替変動リスクは利用者負担。
海外決済に強い法人カード
セゾンコバルト・ビジネス・アメックス
アメックスブランドで海外加盟店が多い。海外利用手数料2.2%。
三井住友カード ビジネスオーナーズ
VISAブランドで国際的な利用範囲広い。海外利用手数料1.63%(VISAブランド)。
アメックスビジネスゴールド
海外旅行傷害保険・キャンセル保険・空港ラウンジ無料など、海外特典が充実。年会費36,300円。
ダイナースクラブ ビジネスカード
世界1,300カ所以上の空港ラウンジ無料。コンシェルジュサービスで現地情報・予約代行。
SaaS・クラウドサービスの外貨決済
多くの海外SaaS(AWS・Google Workspace・Slack・Notion等)はUSD建てで請求される。月数万円〜数十万円の支出になるため、為替コストが累積する。
対策:
- 海外利用手数料の低いカードを選ぶ
- USD建てプリペイドカード・デビットカードと組み合わせる
- SaaS提供元が日本円建て請求に対応している場合は活用
海外送金が必要な場合
カード決済できない海外取引(海外フリーランスへの報酬支払など)は、海外送金が必要。
1. 銀行海外送金
三菱UFJ・三井住友等のメガバンク。手数料1件あたり3,000〜5,500円+為替手数料2〜4%。
2. ネット送金サービス
Wise・PayPalなど。手数料が銀行より大幅に安い(0.5〜2%)。送金スピードも数日。
3. 外貨建てネット銀行
住信SBIネット銀行・GMOあおぞらネット銀行などは外貨建口座を提供。USD・EURで保有・送金可能。
為替コストを最小化する戦略
戦略1: 海外利用手数料の低いカードに集約
海外利用手数料1.63%のVISAブランドのカードに事業用海外決済を集約。
戦略2: 外貨建口座+デビットカード併用
外貨建口座にUSDを保有し、USD建ての海外決済はその口座から直接決済。為替コストは口座入金時の1回のみに。
戦略3: タイミングを分散
大型のUSD決済は、為替レートを見て事前にUSDを買い貯める。為替予約・FX両建てなどの手段もあるが、上級者向け。
外貨建て請求の経理処理
外貨建ての領収書・請求書は、決済日のレートで日本円に換算して仕訳する。
クラウド会計ソフト(マネーフォワード等)は、外貨建取引の自動仕訳に対応。為替差損益の計算も自動化される。
海外取引で気をつけるべき税務
1. 消費税の扱い
海外取引(輸入・輸出)は消費税の課税区分が国内取引と異なる。海外SaaSの中には「リバースチャージ方式」で消費税納税が必要な場合も。
2. 源泉徴収の扱い
海外フリーランスへの報酬支払時、源泉徴収義務が発生する場合がある。租税条約の適用で免除される場合もあるため、確認が必要。
3. 移転価格税制
海外関連会社との取引は、移転価格税制の対象になる場合がある。年間取引額が大きい(50億円以上)企業のみだが、急成長スタートアップは将来の論点。
海外送金時のサービス比較
| サービス | 手数料 | 為替手数料 | 送金スピード |
|---|---|---|---|
| メガバンク | 3,000〜5,500円 | 2〜4% | 1〜3営業日 |
| Wise | 0.5〜1% | 仲値+0.4% | 数時間〜2日 |
| 住信SBIネット銀行(米ドル) | 3,000円 | 仲値+25銭 | 1〜2営業日 |
クレジットカードの海外利用キャッシュバック
「海外利用1.0%キャッシュバック」を提供するカードもある。海外利用手数料を相殺できるため、海外決済が多い事業者には有用。
よくある質問
Q. プリペイドカードを事業用海外決済に使えますか?
A. 使えますが、利用限度額に注意。法人名義のプリペイドカードを発行する場合、口座開設の手続が必要です。
Q. 海外送金の領収書は何が必要ですか?
A. 送金明細書(SWIFT明細)・送金理由を記載した書類・送金先の請求書を保管します。
海外決済・送金は「為替手数料の最小化」と「正しい経理処理」の両立がポイント。取引額が増えたら、Wiseのようなネット送金サービスや外貨建口座の活用で大幅にコストを下げられる。