会計・税務

年末調整完全ガイド——経理担当者の年末業務スケジュール

年末調整の業務フローと必要書類・スケジュールを徹底解説。経理担当者・小規模事業者の年末業務ガイド。

執筆: Founder's Money 編集部 · 3 分で読了 ·

年末調整は給与所得者の所得税を年末に精算する手続。会社が従業員の代わりに行う重要な経理業務だ。本稿では年末調整の全体像とスケジュールを整理する。

年末調整の基本

会社員の所得税は毎月の給与から源泉徴収されているが、それは概算。年末に正確な税額を計算し、過不足を精算するのが年末調整。

対象者

  • 1年を通じて勤務している給与所得者
  • 年度途中に退職して年末に在籍していない人(離職時調整)
  • 年収2,000万円以下の従業員(2,000万円超は確定申告必須)

年末調整のスケジュール

11月中旬

従業員へ年末調整書類を配布:

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)

11月下旬〜12月上旬

従業員から書類回収。

12月中旬

給与計算→年末調整計算→過不足精算。

12月25日(または最終給与日)

年末調整精算後の給与支給。

翌年1月10日まで

源泉徴収票の従業員への配布、税務署・市町村への支払調書・給与支払報告書提出。

翌年1月31日まで

給与支払報告書の市町村提出期限。

年末調整で適用される控除

1. 給与所得控除

給与収入に応じた控除。年収850万円以下は55万円〜195万円。

2. 基礎控除

所得2,400万円以下なら48万円。所得2,400万円〜2,500万円超で逓減。

3. 扶養控除

16歳以上の扶養親族1人につき38万円(特定扶養親族は63万円)。

4. 配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者の所得に応じた控除。最大38万円。

5. 社会保険料控除

給与から控除された社会保険料の全額。

6. 生命保険料控除

一般生命保険・個人年金保険・介護医療保険それぞれ4万円(合計12万円)が上限。

7. 地震保険料控除

最大5万円。

8. 小規模企業共済等掛金控除

個人型確定拠出年金(iDeCo)等の掛金全額。

9. 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅ローン残高の0.7%(2024年以降の入居)。最大13年間。

必要書類の確認

従業員から回収する書類

  • 扶養控除等申告書(全員必須)
  • 保険料控除証明書(生命保険・地震保険・iDeCo等)
  • 住宅ローン控除関係書類(該当者のみ)
  • 前職の源泉徴収票(中途入社者)

会社が用意する書類

  • 給与台帳
  • 源泉徴収簿
  • 給与支払報告書
  • 法定調書合計表

年末調整の計算手順

  1. 1〜12月の給与・賞与の合計を集計
  2. 給与所得控除額を引いて給与所得を計算
  3. 各種控除額を集計
  4. 課税給与所得を計算
  5. 所得税額を計算(累進税率)
  6. すでに源泉徴収した税額と比較
  7. 過不足を給与で精算

クラウド給与計算ソフトの活用

年末調整は手作業だと膨大な時間がかかる。クラウド給与計算ソフトを使えば、書類の電子配布・自動計算・電子申告まで自動化できる。

マネーフォワード クラウド給与のようなツールは、年末調整の電子化に対応。従業員はスマホで書類入力、会社側は自動集計+電子申告で完結。

年末調整での過不足の精算

過納付(税金を引きすぎた)場合

12月給与で還付。または1月給与に上乗せ還付。

不足(税金が足りない)場合

12月給与から追加徴収。または1月給与から減額徴収。

従業員1人当たり数千〜数万円の過不足が一般的。

注意点

1. 中途入社者の対応

前職の源泉徴収票が必要。なければ前職と現職を含めた合算計算ができないため、年末調整できない。その場合は本人が確定申告。

2. 副業がある従業員

本業で年末調整しても、副業所得がある人は確定申告が必要。年末調整は本業だけ。

3. 生命保険料控除の上限

各種保険料の合計上限がある。すべての証明書を集めても全額控除されるとは限らない。

4. 住宅ローン控除1年目

住宅ローン控除の1年目は確定申告が必須(年末調整では適用不可)。2年目以降は年末調整で対応可能。

年末調整後の事務作業

1月10日まで

  • 従業員に源泉徴収票を配布
  • 税務署に法定調書合計表を提出(電子申告対応)
  • 各市町村に給与支払報告書を提出

2月15日〜3月15日

従業員の確定申告期間(必要に応じて従業員サポート)。

クラウド経費精算との連携

従業員の通勤費・出張費等の精算データをクラウド経費精算アプリで管理していれば、年末調整時の控除計算も自動化できる。マネーフォワードシリーズで一気通貫の処理が可能。

税理士の活用

年末調整の業務は経理担当者で対応可能だが、複雑なケース(海外勤務者・家族での扶養変動等)は税理士相談が安全。税理士紹介エージェントで年末調整に強い税理士を探せる。

よくある質問

Q. パートタイマーも年末調整の対象ですか?

A. 年103万円以下のパートで、所得税が源泉徴収されていない人は不要。源泉徴収されていれば年末調整で還付される可能性があります。

Q. 年末調整忘れた場合はどうしますか?

A. 翌年確定申告で精算します。会社が忘れた場合、税務署に「源泉徴収票の修正」を提出することもできます。

年末調整は年末経理の山場。クラウド給与計算ソフトの活用で工数を大幅に削減できる。早めの準備で従業員に正確な源泉徴収票を提供することが、信頼関係の基本だ。

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